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美容師の副業は何から比べる?時間・免許・就業規則・費用で選ぶ判断軸

美容師の副業は「何が稼げるか」より先に、使える時間・美容師法の場所の決まり・勤務先の就業規則・雇用か業務委託か・費用・トラブル時の責任の所在の6つで比べると、選んではいけない候補が早く外れます。とくに美容の施術そのものを副業にする場合は、美容師免許を持っていても「どこで施術するか」に法律上の決まりがあり、ここを確認しないまま始めると本業にも影響が出かねません。

この記事では、現役の美容師やアイリストが副業を検討するときに、選択肢を同じ物差しで並べるための判断軸を整理します。収入額の比較や順位づけは扱いません。条件は人によって違い、同じ副業でも勤務形態や地域で結論が変わるためです。法律や税の話は、厚生労働省・国税庁・e-Gov法令検索で文言を確認できた範囲だけを書き、確認先も添えています。副業の個別テーマは美容師の副業カテゴリにまとめていきます。

目次

美容師が副業を比べる前に決めておく3つの前提

副業を比べる前に、「副業に使える週あたりの時間」「副業で達成したい目的」「勤務先の副業ルールの有無」の3つを先に書き出すと、比較表の空欄が埋まり、候補の絞り込みが速くなります。

副業の情報を集め始めると、選択肢が多すぎて比べられなくなることがよくあります。原因は、比べる物差しが決まっていないことです。最初に決めるのは次の3つです。

1つ目は時間です。営業時間が長く、閉店後に練習や片付けがある働き方では、平日の夜に副業を入れる余地は小さくなります。休日が週に何日あり、そのうち何時間を副業に回しても体と家庭が回るかを、希望ではなく今の実績から見積もります。

2つ目は目的です。「収入の柱を一つ増やしたい」「将来の独立に向けて集客を試したい」「施術以外の得意分野を伸ばしたい」では、選ぶべき副業がまったく変わります。目的がはっきりすると、比較表のどの列を重く見るかが決まります。

3つ目は勤務先のルールです。副業そのものが禁止なのか、届出をすれば認められるのか、同業の施術だけが制限されているのかで、候補はここで大きく減ります。就業規則の確認方法は後の見出しで詳しく扱います。

仮の例として、前提を書き出すと次のようになります。「副業に使える時間は定休日の午前中の3時間ほど。目的は、指名につながる発信の練習を兼ねた小さな収入。勤務先は届出制と聞いているが、規程の原文はまだ読んでいない」。この3行があるだけで、次の比較で何を調べればよいかが見えてきます。

美容師の副業は大きく4つの型に分かれる

美容師の副業は「別の美容所で雇われて施術する」「業務委託や出張で施術する」「施術以外の仕事をする」「発信や制作など技術や知識を形にする」の4つに分けると、法律・就業規則・責任の確認先がそれぞれ整理できます。

職種名やサービス名で副業を並べると、似たものが重複して比べにくくなります。そこで、仕事の形で4つの型に分けます。型が同じなら確認すべきことも共通しているため、調べる手間が減ります。

副業の型 仕事の中身の例 美容師法との関係 主に確認する相手
A 別の美容所で雇われて施術 休日に別サロンでアルバイトやパートとして施術する 美容所の中で施術するため、場所の決まりは雇い先の美容所が満たしている前提で働く 本業の勤務先、雇い先のサロン
B 業務委託・出張で施術 業務委託契約で施術する、依頼者の自宅や式場へ出向いて施術する 美容所以外の場所での施術は原則として禁止され、政令などで定める場合だけ認められる 本業の勤務先、委託元、地域の保健所
C 施術以外の仕事 美容と関係のない接客、事務、物流などのアルバイト 美容の施術をしないため、美容師法の場所の決まりは直接関係しない 本業の勤務先、副業先
D 発信・制作 ヘアやメイクの知識の発信、写真や文章の制作、オンラインでの情報提供 施術をしない範囲なら美容所の決まりは関係しないが、顧客写真や勤務先の情報の扱いに別の注意が要る 本業の勤務先、写真に写る本人

この記事では、この4つの型を軸にして、時間・免許と場所・就業規則・費用・責任の順に比べていきます。最後に、型ごとの比較を1つの表にまとめます。

比較軸1 時間配分は本業の拘束時間から逆算する

副業に回せる時間は「休日の数×1日に使える時間」から、練習・移動・休養に必要な時間を差し引いた残りで見積もり、その残りに収まる型だけを候補に残します。

美容師の副業で最初につまずきやすいのが時間です。本業の営業時間に加えて、開店前の準備や閉店後の練習、講習への参加などで、拘束時間が見た目より長くなっていることがあります。

時間を見積もるときは、次の順で考えると現実的な数字になります。まず直近の出勤時刻と退勤時刻を勤怠記録や手帳から拾い、実際の拘束時間を出します。次に、休日の予定のうち動かせないもの(家族の予定、通院、技術練習など)を除きます。最後に、疲れを回復させるための時間を残します。ここで残った時間が、副業に使える上限です。

型ごとに時間の使い方も違います。型Aや型Bの施術系は、予約が入った時間に体を動かす必要があり、時間の自由度は低めです。型Cのアルバイトはシフト制が多く、本業のシフトと重なると調整が難しくなります。型Dの発信や制作は、すき間時間に分けて進めやすい一方、成果が出るまで時間がかかることがあり、続ける仕組みを自分で作る必要があります。

仮の例として、週休2日で、休日のうち1日の午前中だけを副業に使える美容師を考えます。この場合、使える時間は週に3時間ほどです。施術の副業は予約時間を依頼者に合わせる必要があるため組み込みにくく、決まった時間に作業できる型Dの発信のほうが、今の生活に収まりやすいという判断になります。

比較軸2 免許と施術場所は美容師法で確認する

美容の施術を副業にするなら、美容師免許があることに加えて、美容所以外の場所での施術を原則として禁じる美容師法第7条の決まりを確認し、例外に当たるかを地域の保健所で確かめます。

美容師法第6条には「美容師でなければ、美容を業としてはならない。」とあり、第7条には「美容師は、美容所以外の場所において、美容の業をしてはならない。」とあります。第7条にはただし書があり、政令で定める特別の事情がある場合はこの限りではないとされています。条文はe-Gov法令検索の美容師法で確認できます。

つまり、美容師免許を持っていても、知人の家や自宅の一室で気軽に施術を受けるという形は、例外に当たらない限り認められていません。副業として施術を考える場合は、「免許があるか」と「どこで施術するか」を分けて確認することが大切です。

例外の中身は美容師法施行令第4条に書かれています。疾病その他の理由で美容所に来ることができない人に施術する場合、婚礼その他の儀式に参列する人にその儀式の直前に施術する場合、そしてそれ以外に都道府県(保健所を設置する市や特別区ではその市や区)が条例で定める場合です。3つ目は地域ごとに中身が違うため、出張での施術を考えるなら、施術する地域の保健所に条例の内容を問い合わせてから判断してください。

自宅などに新しく施術の場所を作る場合は、別の手続きも関係します。美容師法第11条では、美容所を開設しようとする人は、位置や構造設備、管理美容師その他の従業者の氏名などをあらかじめ都道府県知事に届け出ることとされ、第12条では、構造設備について検査を受けて確認を受けた後でなければその美容所を使用してはならないとされています(いずれも美容師法)。届出の窓口や必要書類は地域で異なるため、開設を考える段階で保健所に相談します。

アイリストの方も、まつ毛の施術を副業にするなら、同じように施術する場所と地域の決まりを確認してから候補に残すかを決めてください。

比較軸3 勤務先の就業規則と届出の有無を確かめる

副業を始める前に、勤務先の就業規則や雇用契約書で副業の扱い(禁止・許可制・届出制・条件付き)を原文で確認し、届出が必要なら副業の内容と時間を書面で伝えます。

厚生労働省の副業・兼業の促進に関するガイドライン(令和4年7月8日改定版)では、労働者は副業・兼業を希望する場合にも「まず、自身が勤めている企業の副業・兼業に関するルール(労働契約、就業規則等)を確認し」、そのルールに照らして適切な副業・兼業を選ぶ必要があるとされています。

同じガイドラインでは、裁判例を踏まえ、企業が副業・兼業を制限できるのは、労務提供上の支障がある場合、業務上の秘密が漏洩する場合、競業により自社の利益が害される場合、自社の名誉や信用を損なう行為や信頼関係を破壊する行為がある場合などと解されている、と整理されています。美容師の副業では、とくに「競業」の扱いが論点になりやすく、近隣での施術や、本業の顧客への個別の声かけは、勤務先が制限の対象にしている場合があります。

就業規則を読むときに見る場所は次のとおりです。

確認する項目 見る場所の例 確認できたら決めること
副業そのものの可否 就業規則の服務規律や副業・兼業の条文 禁止なら施術・非施術を問わず候補から外すか、勤務先に相談する
届出や許可の手続き 就業規則、届出様式、雇用契約書 誰に、いつまでに、何を書いて出すか
同業・競業の扱い 競業避止や顧客情報の条文 施術系の副業を候補に残すか、施術以外に切り替えるか
SNSや情報発信の扱い SNS利用規程、秘密保持の条文 店内写真や顧客の情報を発信に使わない線引き

規程の文言だけでは判断がつかない場合は、店長や本部の担当者に、副業の内容・時間・場所を具体的に書いたうえで確認します。口頭の了承だけで始めると、後で認識が食い違ったときに証拠が残りません。届出が必要な勤務先なら、提出した書面の控えを手元に残しておきます。

比較軸4 雇用か業務委託かで労働時間の扱いが変わる

副業先に雇われる場合は本業と副業の労働時間が通算されるため、両方の勤務先に時間を伝える必要が出ますが、業務委託や個人での仕事なら通算はされない代わりに、休む時間を自分で守る管理が必要です。

厚生労働省の副業・兼業の促進に関するガイドラインでは、事業主を異にする複数の事業場で、労働基準法の労働時間規制が適用される労働者として働く場合に、労働時間が通算されると整理されています。一方で、フリーランスや独立、起業などで労働基準法が適用されない場合は、その時間は通算されないとされています。

美容師の副業に置き換えると、型Aの「別の美容所でアルバイトとして施術する」や、型Cの「美容以外のアルバイト」は雇用の形になることが多く、労働時間の通算が関係します。雇い先によっては、本業の労働時間を申告するよう求められることがあります。

型Bの業務委託や、型Dの個人での発信・制作は、雇用でなければ通算の対象にはなりません。ただし、ガイドラインでもこうした場合に就業時間が長時間にならないよう配慮することが望ましいとされているように、働きすぎを止める仕組みがなくなる点には注意が要ります。立ち仕事が続く美容師にとって、休日がすべて副業で埋まる状態は、本業の施術の質にも響きます。

健康の管理について、厚生労働省の副業・兼業のページでは、本業と副業の労働時間や健康状態を自分で管理するためのアプリ「マルチジョブ健康管理ツール」が紹介されています。紙の手帳でも構いませんが、週ごとの合計時間と疲れの具合を記録しておくと、続けるか減らすかの判断材料になります。

比較軸5 初期費用と続けるための費用を分けて見積もる

副業の費用は、始めるときに一度だけかかる初期費用と、続ける限り毎月かかる継続費用を分けて書き出し、副業をやめた場合に残る負担まで含めて比べます。

費用の比較では、始めるときの金額だけを見がちです。しかし続けるための費用や、やめるときに残る負担のほうが、生活への影響は大きくなることがあります。型ごとに、どんな費用の項目が出てくるかを整理します。

型Aの雇われて施術する副業は、雇い先の設備を使うことが多く、初期費用は抑えやすい型です。ただし、ハサミなどの道具を自分で持ち込むのか、移動にどれくらいかかるのかは、雇い先ごとに確認します。

型Bの業務委託や出張は、道具や材料、移動の手段、場合によっては保険などを自分で用意する可能性があり、費用の項目が増えます。施術の場所を自分で用意する場合は、前の見出しで触れた美容所の届出や設備も関係します。

型Cの施術以外のアルバイトは、初期費用がほとんどかからないことが多い一方、時間あたりの負担を事前によく見ておく必要があります。

型Dの発信や制作は、手持ちのスマートフォンで始められる一方、撮影の機材や編集ソフト、学習のための費用など、続けるうちに費用が増えることがあります。月ごとの上限額を最初に決めておくと、使いすぎを防げます。

仮の例として、型Dを選んだ美容師が書き出す費用の表は「初期費用:なし(手持ちのスマートフォンを使う)。継続費用:月ごとの上限を自分で決めた範囲の学習費。やめた場合に残る負担:なし」のようになります。数字の大小より、項目が書き出せているかどうかが比較の質を決めます。

比較軸6 事故やトラブルが起きたときの責任の所在

施術系の副業では、事故やクレームが起きたときに誰が対応し、誰が費用を負うのかが契約の形で変わるため、雇用・業務委託・個人の別ごとに責任の所在と保険の対象範囲を事前に確かめます。

美容の施術は、薬剤や刃物を扱う以上、肌トラブルやけがなどの事故が起こる可能性をゼロにはできません。副業として施術するなら、起きたときの対応を先に決めておくことが、自分と依頼者の両方を守ります。

型Aの雇われて施術する形では、事故の対応は雇い先のサロンの手順に沿うことが一般的です。ただし、どこまでが雇い先の責任で、どこからが本人の責任になるかは、雇用契約や店の規程によって違うため、働き始める前に確認しておきます。

型Bの業務委託や出張では、契約書に事故時の対応や費用負担が書かれているかが重要です。書かれていなければ、契約前に委託元へ確認します。個人で依頼を受ける場合は、自分が対応の窓口になります。賠償責任保険などに入る場合は、副業先での施術や出張での施術が補償の対象に含まれるかを、保険会社に確認してください。本業の勤務先が入っている保険が、副業での施術を対象にしているとは限りません。

型Dの発信や制作でも、トラブルはあります。顧客の写真を無断で使った、勤務先の内部の情報を書いてしまった、といった問題です。こちらは事故というより、許可の取り方と書いてよい範囲の問題で、後の見出しで詳しく扱います。

契約の形 事故時の主な窓口 事前に確かめること
雇用(型A・型C) 雇い先の手順に沿って対応 雇用契約や店の規程で本人の責任がどこまでか
業務委託(型B) 契約書の定めによる 事故時の対応と費用負担の条項、保険の対象範囲
個人で直接受ける(型B・型D) 本人 保険の対象範囲、依頼者との取り決めの書面化

副業で得た所得と確定申告の確認点

会社員として給与を受けている美容師は、副業の所得の合計が20万円を超えるかどうかが確定申告の要否の目安になりますが、条件は給与を受けている勤務先の数でも変わるため、国税庁の条件の全文(国税庁タックスアンサーNo.1900)で自分の状況を照らします。

国税庁のタックスアンサーNo.1900「給与所得者で確定申告が必要な人」では、給与を1か所から受けていて、その給与の全部が源泉徴収の対象となる場合に、「各種の所得金額(給与所得、退職所得を除く。)の合計額が20万円を超える人」は確定申告が必要とされています。

同じページ(国税庁タックスアンサーNo.1900)では、給与を2か所以上から受けている場合の条件も別に書かれています。型Aや型Cのように副業先からも給与を受ける場合は、年末調整されなかった給与の収入金額と、給与所得・退職所得以外の各種の所得金額との合計額が20万円を超えるかどうかが条件になります。本業だけの場合と条件の書き方が違うため、副業の型によってどちらに当てはまるかを確認してください。

注意したいのは、条件が「所得金額」で書かれている点です。副業で受け取った金額そのものと同じとは限らないため、自分の所得金額の計算方法は、税務署や税理士に確認してください。また、所得税の確定申告が不要な場合(条件は国税庁タックスアンサーNo.1900)でも、住民税の申告の扱いはお住まいの市区町村によって案内が異なることがあるため、市区町村の窓口で確認してください。

副業を始める段階でできる準備は、受け取った金額と使った費用を、日付と内容がわかる形で記録しておくことです。領収書やレシートを月ごとにまとめておくだけでも、後で確認するときの手間が大きく減ります。

4つの型を6つの判断軸で並べた比較表

ここまでの判断軸を1つの表にまとめると、施術系の副業は確認先が多く準備に時間がかかり、施術以外や発信の副業は始めやすい一方で、時間管理や情報の扱いに自分のルールが要るという違いが見えてきます。

前の見出しまでで扱った6つの判断軸を、4つの型ごとに並べます。どの型が優れているかではなく、自分の前提に照らして、どの列に問題がないかを見るための表です。

判断軸 A 別の美容所で雇われて施術 B 業務委託・出張で施術 C 施術以外の仕事 D 発信・制作
時間の自由度 雇い先のシフトに合わせる 依頼者の予約に合わせる 副業先のシフトに合わせる 自分で決めやすい
美容師免許と施術場所 免許が前提、場所は雇い先の美容所 免許が前提、美容所以外は例外に当たるかを確認 施術しないため直接は関係しない 施術しない範囲なら直接は関係しない
就業規則で見る点 副業の可否と競業の扱い 副業の可否と競業の扱い 副業の可否と届出 副業の可否とSNS・秘密保持の規程
労働時間の通算 雇用なら関係する 雇用でなければ関係しない 雇用なら関係する 雇用でなければ関係しない
費用の出方 道具や移動の分 道具・材料・移動・保険など項目が多い 少ないことが多い 続けるうちに増えやすい
事故やトラブルの窓口 雇い先の手順 契約書の定め、個人なら本人 副業先の手順 本人(写真や情報の扱い)

表の使い方の仮の例です。前提が「使える時間は休日の一部だけ・発信の練習を兼ねたい・勤務先は届出制」の美容師なら、時間の自由度でAとBが厳しく、目的との相性でCは外れ、Dが残ります。そのうえで、届出の書面を出し、SNS利用規程で店内写真の扱いを確認してから始める、という順番になります。反対に「休日が多く、施術の腕を落としたくない」という前提なら、Aを第一候補にして、勤務先の競業の扱いを先に確認することになります。

候補が決まったら期間を区切って試す

候補が1つに絞れたら、いきなり本格的に始めず、勤務先への確認、期間を区切った小さな試行、試行後の見直しの3段階で進めると、本業への影響を見ながら続けるかを判断できます。

比較表で候補が決まっても、実際にやってみると想定と違うことはよくあります。そこで、最初に期間を区切り、その間を「試す期間」と決めて進めます。

最初の週は確認に使います。勤務先の就業規則の原文を読み、届出が必要なら書面で提出します。施術系なら施術する場所が美容師法の決まりに合っているか、出張なら地域の保健所の案内を確認します。

2週目から4週目は、小さく試します。発信なら週に決めた本数だけ投稿する、施術系なら雇い先や委託元と決めた日数だけ働く、というように、上限を決めて始めます。並行して、使った時間・受け取った金額・使った費用・疲れの具合を記録します。

試す期間が終わったら、記録を見て続けるかを決めます。本業の施術に疲れが出ていないか、家族との時間が削られていないか、目的に近づいているかを確認し、続けるなら次の期間の上限を決め直します。続けないと決めることも、比較の結果として立派な結論です。

仮の例として、試す期間の後の見直しメモは「使った時間は予定どおり。受け取った金額はまだない。本業への影響はなし。発信の練習としては続ける価値があるので、来月も同じ上限で続ける」のようになります。記録があれば、気分ではなく事実で判断できます。

発信やAI活用を副業にするときの確認点

発信や制作の副業では、顧客の写真を使う前に本人の許可を取る、勤務先のSNS規程の範囲に収める、生成AIで作った文章や画像は自分で事実と表現を確かめてから公開する、の3点を先に決めておきます。

型Dは、すき間時間で進めやすく、美容師としての知識をそのまま活かせる型です。一方で、施術系とは別の種類の確認が必要になります。

まず写真です。ヘアスタイルの写真は、写っているのが顧客であれば、その人の許可なく発信に使うことはできないと考えて準備します。許可を取るときは、どの媒体に、どのくらいの期間載せるのか、顔を写すのかを具体的に伝え、了承の記録を残します。勤務先で撮った写真なら、勤務先の許可も必要になることがあります。

次に勤務先の情報です。店の内装や価格、他のスタッフが写り込む写真、顧客とのやり取りの内容は、勤務先のSNS利用規程や秘密保持の規程に触れる場合があります。比較軸3で確認した規程の範囲に収まるかを、投稿前に見直します。

最後に生成AIの使い方です。投稿文の案出しや構成づくりに生成AIを使う場合でも、薬剤や施術の効果について書かれた部分は、自分の知識と確認できる情報で見直してから公開します。効果を断定する表現は、読む人に誤解を与えるおそれがあるため避けます。AIを使った投稿の具体的な進め方は、美容師のAI×SNS活用カテゴリで扱います。

仮の例として、発信を始める前に決めておくルールは「顧客の写真は書面で許可を取ったものだけ使う。店内と他のスタッフは写さない。AIで作った文案は、施術の説明の部分を自分で書き直してから載せる」のような3行にまとまります。

副業より職場や働き方を変えるほうが合うケース

比較表で「どの型も時間か規則で成り立たない」となった場合は、副業を足すより、勤務時間や勤務先、職種を見直すほうが目的に近づくことがあるため、副業と働き方の変更を同じ表で比べ直します。

副業を検討するきっかけが「今の働き方では時間も収入も足りない」というものだと、副業を足すことでかえって休む時間がなくなる場合があります。比較表のすべての型で、時間の列か就業規則の列に問題が残るなら、副業ではなく働き方そのものを見直すほうが目的に合っている可能性があります。

たとえば、勤務先が副業を認めていない、休日が少なく副業に回せる時間がほとんどない、といった状況です。この場合の選択肢には、今の勤務先で勤務時間や担当の相談をする、副業を認めている勤務先へ移る、美容師免許を活かせる別の職種を検討する、といったものがあります。どれが合うかは、副業の比較と同じように、時間・規則・費用・責任の軸で並べると判断しやすくなります。

働き方の見直しは美容師のキャリアカテゴリで、アイリストとしての働き方はアイリストのキャリアカテゴリで扱います。副業と転職のどちらかに決めつけず、両方を同じ物差しで並べることが、後悔の少ない選び方につながります。

よくある質問(FAQ)

Q1. 美容師免許があれば、友人の家で髪を切るのは副業として問題ありませんか?
業として施術する場合、美容師法第7条で美容所以外の場所での施術は原則として禁止されており、例外は美容師法施行令第4条と地域の条例で定める場合に限られます。友人の家での施術が例外に当たるかは、その地域の保健所に確認してから判断してください。
Q2. 勤務先に副業の規定が見当たらない場合はどうすればよいですか?
規定が見当たらないことと、副業が自由に認められていることは同じではありません。雇用契約書や別の規程に書かれている場合もあるため、店長や本部の担当者に、副業の内容と時間を書面で伝えて扱いを確認すると、後の食い違いを防げます。
Q3. 副業の収入が少額でも、何か手続きは必要ですか?
所得税の確定申告が不要な範囲(条件は国税庁タックスアンサーNo.1900)でも、住民税の申告の扱いは市区町村によって案内が異なることがあります。金額にかかわらず、受け取った金額と費用の記録を残し、お住まいの市区町村の窓口で必要な手続きを確認してください。
Q4. アイリストでも、この記事の比べ方は使えますか?
使えます。まつ毛の施術を副業にする場合も、施術する場所と地域の決まり、勤務先の規則、費用、事故時の対応という同じ軸で比べられます。施術を伴わない発信や制作の副業なら、写真の許可と勤務先の規程の確認が中心になります。
Q5. 副業を始めたことを勤務先の同僚に話す必要はありますか?
同僚へ話す義務より、勤務先の規則で決められた相手に必要な届出をすることが先です。発信の副業で店の情報が写り込むおそれがある場合は、同僚が写る写真を使わないなど、周りの人の情報を守る配慮もあわせて決めておくと安心です。

まとめ

美容師の副業は、稼げる額の比較から入るのではなく、時間配分、美容師免許と施術場所、勤務先の就業規則、雇用か業務委託か、費用、事故時の責任の所在という判断軸で並べると、自分に合わない候補が先に外れます。

施術を副業にするなら、美容師法で美容所以外の場所での施術が原則として禁止されていることと、地域ごとの例外を保健所で確認することが出発点です。施術以外や発信の副業なら、勤務先の規程と写真の許可、時間の管理を自分で決めておく必要があります。所得が出たら、国税庁の条件で確定申告の要否を照らし、住民税は市区町村で確認してください。

比較の結果、副業より働き方の変更が合うと分かることもあります。どちらの道を選ぶ場合も、最初に期間を区切って試す期間にして、記録をもとに続けるかを決めていきましょう。

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