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美容師からアイリストへ転職する前に|免許・仕事内容・働き方の確認点

美容師からアイリストへ転職するときは、免許と届出の要件、仕事内容の違い、研修と練習期間の扱い、求人票と労働条件通知書の記載、副業から始める場合の就業規則の5つを、応募前に順番に確認すると判断しやすくなります。まつ毛エクステンションの施術は美容師法に基づく「美容」に当たるため、美容師免許を持っていること自体は前提条件を満たしています。ただし、免許があることと、転職先で自分の希望どおりに働けることは別の話です。

この記事は、美容師免許を持つ人が、アイリストの仕事に転職する、または副業として始める前に確認することを整理した手順書です。給与の高低や需要の大きさ、向いている人の条件は扱いません。それらは公的な統計や公式資料で言い切れる範囲が限られるためです。資格や制度の説明は、厚生労働省のページで確認できた文言の範囲だけを書き、同じ段落に確認先のリンクを添えています。美容師の転職全般は美容師のキャリアカテゴリ、アイリストの働き方はアイリストのキャリアカテゴリにまとめていきます。

仮の例として、読み終えた後の状態を先に示します。求人には「アイリスト募集・美容師免許必須・研修あり」と書かれています。この記事の手順で読むと、確認メモは「届出済みの美容所での勤務かを確認」「研修の期間と、その間の勤務条件を質問」「担当する施術メニューの範囲を質問」「副業の扱いは就業規則で確認」の4行にまとまります。何を聞けばよいかが文章になっている状態が、この記事のゴールです。

目次

美容師とアイリストの仕事は何が違うのか

美容師の仕事は髪を中心とした施術やカウンセリングが主で、アイリストの仕事はまつ毛に施術する専門業務なので、同じ美容師免許を使っても、日々の作業・使う道具・お客さまとの関わり方が変わります。

転職前に整理したいのは、「何をする仕事が増えて、何をする仕事が減るのか」です。ヘアサロンでは、カット、カラー、パーマ、ヘアセットなど、施術の種類が多く、1人のお客さまに複数のメニューを組み合わせることもあります。アイリストの仕事は、まつ毛への施術が中心になるため、メニューの幅が変わる場合があります。1つの施術にどれだけ時間をかけるかも、職場ごとに違います。

ここで大切なのは、求人票の「アイリスト」という言葉の中身が、会社ごとに違う可能性があることです。まつ毛エクステンションの施術だけを担当するのか、ほかのメニューも担当するのか、カウンセリングや予約対応、物販、清掃、道具の管理まで含むのかは、求人票の文言だけでは分からないことがあります。職種名で判断せず、「毎日の仕事の流れ」を具体的に聞くことが、確認の出発点になります。

次の表は、転職前に「自分の中で整理しておくこと」を、仕事内容の観点で並べたものです。数値は入れず、確認の観点だけを示しています。

観点 ヘアサロンでの経験から考えること アイリストへ転職する前に確かめること
施術の範囲 カット・カラー・パーマなど複数メニューを担当してきたか 転職先で担当する施術メニューが、まつ毛エクステンションのみか、他にもあるか
お客さまとの関わり 髪の悩みを聞いて提案する場面が多かったか カウンセリングの方法や、施術前の確認事項を誰がどう決めているか
道具と材料 ハサミやコームなど、自分の道具を使ってきたか ツイーザーなどの道具や材料を、会社が用意するのか自分で用意するのか
仕事の流れ 営業時間に合わせた予約の組み方に慣れているか 予約の組み方、休憩の取り方、片づけや準備に使う時間の扱い

表の4行は、どれも「転職先に質問する」ところまで落とし込むための観点です。実際に求人票を読むときは、この4行に答えが書かれているかを1つずつ確認します。書かれていない行は、そのまま質問項目になります。

まつ毛エクステンションの施術に美容師免許が必要とされる根拠

厚生労働省のページは、まつ毛エクステンションの施術は美容師法に基づく「美容」に該当するため、施術者には美容師の免許が必要としているので、免許を持つ人は応募の前提条件を満たしています。

厚生労働省の「まつ毛エクステンションの危害」のページには、「まつ毛エクステンションの施術は、美容師法に基づく『美容』に該当しますので、施術者には美容師の免許が必要です。」と記載されています。したがって、美容師免許を持っている人は、アイリストとして働くための免許の要件を満たしています。

ここで見落としやすいのが、求人票の「美容師免許必須」「免許なし可」といった文言の意味です。免許がなくても応募できる求人は、免許取得に向けた通学や、施術に入る前の補助業務などを前提にしている場合があります。免許を持つあなたにとっては、そうした条件が書かれていても、実際の担当業務が変わるのかを確認する意味があります。免許を前提にした求人と、そうでない求人では、施術に入るまでの流れが違う可能性があるためです。

免許の確認で気をつけたいのは、「持っているから大丈夫」と思い込まず、自分が持つ免許が美容師免許であること、手元に免許証や関連書類があることを事前に確かめておくことです。入社時に提出を求められる書類がある場合は、その種類や提出時期も確認しておくと、手続きで慌てずに済みます。免許の取得や手続きの詳細は、各自治体や厚生労働省の案内を確認してください。

また、厚生労働省の同じページには、関連の通知へのリンクがまとめられています。ページには、「まつ毛エクステンションによる危害防止の徹底について」(平成20年3月7日)、「まつ毛エクステンションによる危害防止の周知及び指導・監督の徹底について」(平成22年2月18日)、「まつ毛エクステンションによる安全性の確保について」(平成24年11月28日)、「まつ毛エクステンションに係る教育プログラムと情報提供等について」(平成25年6月28日)を含む通知が掲載されています。通知の本文は、転職前に1度目を通し、面接で衛生管理や教育の考え方を質問するときの材料にできます。

届出された美容所で働くことの確認

厚生労働省のページは、美容師は美容所で美容を行わなくてはならず、届出されていない美容所ではまつ毛エクステンションの施術を行えないとしているので、勤務先が届出済みの美容所かどうかが確認点になります。

同じ厚生労働省のページには、「美容師法では、『美容師は、美容所で美容を行わなくてはならない。』とされているため、届出されていない美容所においてまつ毛エクステンションの施術を行うことはできません。」とも記載されています。つまり、免許があっても、働く場所が届出された美容所でなければ、施術はできないということです。

転職を考える人にとって、これは「求人票に載っている店舗が、届出された美容所として運営されているか」を確かめる必要がある、という意味になります。確認の方法は、面接や見学のときに「この店舗は美容所としての届出をしていますか」と質問することです。質問することは失礼ではなく、むしろ免許を持つ者として当然の確認です。回答があいまいな場合や、質問に答えてもらえない場合は、その時点で応募を続けるかを考え直す材料になります。

副業として自宅やレンタルスペースで始めたい場合も、同じ観点で確認します。届出されていない場所で施術を行うことはできないと、厚生労働省のページが示しています。自宅の一室で施術を行う場合に、どのような手続きが必要かは、自治体の保健所など管轄の窓口に確認してください。この記事では、個別の手続きの可否を断定しません。

確認先として、お住まいの地域の保健所や衛生主管部局の案内を、転職活動の初期に調べておくと、副業を検討する段階になってから慌てずに済みます。一方で、勤務先を探す段階では、届出の有無を求人票で判断できないことが多いので、面接での質問に頼ることになります。

転職を決める前に整理する3つの問い

転職前の整理とは、自分が求める「仕事内容」「働き方」「学び方」の3つの優先度を、応募先を比べる前に書き出して決めておく作業のことです。

応募先を探し始めると、求人票の条件に目が移りやすくなります。そこで、先に次の3つの問いに、自分の言葉で答えを書いておきます。答えは短くて構いません。

1つ目は、「アイリストの仕事の何に惹かれているのか」です。施術の細かさなのか、お客さまとの距離感なのか、働く時間帯なのか。ここが曖昧なまま転職すると、入社後に仕事内容が想像と違ったときに、判断の基準がなくなります。2つ目は、「いまの働き方の何を変えたいのか」です。労働時間なのか、休日なのか、人間関係なのか。変えたいものが仕事内容そのものではなく、働き方の条件であれば、職種を変えずに解決できる可能性もあります。

3つ目は、「何を学びながら働きたいのか」です。アイリストの施術は、ヘアの施術とは使う道具も手の動かし方も違います。免許を持っていても、現場で施術をするためには練習や研修の期間が必要になる場合があります。その期間をどう過ごしたいか、収入や勤務時間はどう扱われるのかを、先に自分の中で整理しておきます。

この3つの問いは、後の章で扱う「研修・練習期間」「求人票の読み方」「副業か転職か」の判断のもとになります。答えを書き出したら、次の章以降で、書き出した内容と求人側の条件が合っているかを確かめていきます。

確認1 担当する施術メニューと仕事の範囲を聞く

施術メニューと仕事の範囲の確認とは、入社後に自分が担当する施術の種類と、施術以外の業務の内容を、求人票と面接で具体的に聞き出すことです。

アイリストの求人票には、「まつ毛エクステンション施術」とだけ書かれていることがあります。これだけでは、担当する範囲が分かりません。まず聞くのは、「入社してから最初に担当する施術」と「将来担当する施術」です。最初は補助業務や簡単な工程から入り、段階的に担当を広げていく会社もあれば、早い段階から施術に入る会社もあります。どちらが良いかは、自分の経験や希望によって変わります。

次に、施術以外の業務を確認します。たとえば、予約の受付、お客さまへの事前の説明、会計、道具の消毒や片づけ、店舗の清掃、物販、SNSの更新などが含まれることがあります。これらの業務の割合が大きいと、施術に使える時間が減ることもあるため、面接で「施術以外の作業には何がありますか」と聞いておきます。

聞くときのコツは、「はい・いいえ」で答えられる質問よりも、「仕事の流れを順に教えてください」のように、具体的な説明を引き出す質問にすることです。説明が具体的であれば、働き方を想像しやすくなります。説明があいまいであれば、確認を続けるか、別の選択肢を考えるかを判断する材料になります。

確認した内容は、メモに残します。面接のあとに、求人票の記載と、面接で聞いた説明と、労働条件通知書の記載を並べて見比べるときに役立ちます。食い違いが見つかったら、その時点で質問し直します。

確認2 研修と練習期間の扱いを聞く

研修と練習期間の確認とは、施術に入る前や入社後の一定期間に行う研修・練習の内容と、その間の勤務時間・賃金・費用の扱いを質問して、書面で確かめることです。

免許を持っていても、アイリストの現場に入ると、新しく覚えることが多くあります。そのため、研修や練習の期間を設けている職場もあります。ここで確認したいのは、練習の「内容」と「条件」の2つです。

内容については、誰が指導するのか、どのような順番で進むのか、施術に入れるかどうかを誰がどう判断するのかを聞きます。「研修あり」とだけ書かれた求人票では、これらは分かりません。指導の方法や、施術に入る判断の基準が示されていない場合は、その点自体を質問します。

条件については、練習の時間が勤務時間に含まれるのか、勤務時間外なのか、練習で使う材料や道具の費用を誰が負担するのかを確認します。労働基準法施行規則第5条には、労働条件として明示する事項が列挙されており、その中に、使用者がその定めをする場合の「職業訓練に関する事項」も含まれています。e-Gov法令検索の労働基準法施行規則で、条文を確認できます。練習や研修が条文上の職業訓練にあたるかどうかは、会社の制度によって変わります。そのため、通知書や就業規則でどう書かれるかを質問して確かめる方法が分かりやすいでしょう。

次の表は、研修と練習期間について、面接で聞く質問と、聞く目的をまとめたものです。質問の数は4つです。

質問 聞く目的 確認する書類
研修は誰がどの順番で行いますか 指導の体制と進め方を知る 面接での説明、研修資料
施術に入れるかどうかは何で判断しますか 判断の基準を知る 面接での説明
練習の時間は勤務時間に含まれますか 時間と賃金の扱いを知る 労働条件通知書、就業規則
練習で使う材料や道具の費用は誰が負担しますか 費用負担を知る 労働条件通知書、就業規則

この表の4つの質問は、聞いた内容を口頭で終わらせず、書面に記載があるかを確かめるところまでセットにします。口頭の説明と書面の内容が違う場合は、そのままにせず、どちらが正しいのかを質問して、書面で答えをもらいます。

確認3 求人票と労働条件通知書で読む項目

求人票と労働条件通知書の確認とは、応募前に読む求人票で見当をつけ、契約の際に使用者が労働者へ明示する通知書で条件を確定させる、二段階の読み合わせのことです。

労働基準法第15条について、e-Gov法令検索の労働基準法には、「使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。」と書かれています。同条では、明示された労働条件が事実と相違する場合には、労働者は即時に労働契約を解除できるとされています。求人票の内容と、契約時に渡される書面が食い違うときは、確認が必要な点になります。

労働条件の明示のルールは、2024年4月から変わりました。厚生労働省の「2024年4月から労働条件明示のルールが変わります」のページには、リーフレットやQ&Aなどへのリンクがまとめられています。就業場所と業務の「変更の範囲」の明示が含まれるため、アイリストとして入社しても、将来ほかの業務や店舗に配置が変わる範囲が書かれているかを確認できます。

アイリストへの転職で、求人票と通知書の両方で見たい項目を、次の表にまとめました。項目は5つです。賃金や歩合の詳しい読み方は、美容師の転職で求人票を読む手順|労働条件通知書と照らす8つの確認項目で扱っているため、ここでは、アイリストに転職するときに特に見たい点に絞ります。

項目 求人票で見ること 通知書で見ること
仕事の内容 「アイリスト」の中身が書かれているか 従事する業務と、変更の範囲の記載
就業の場所 勤務する店舗の名前と所在地 配属先の店舗と、変更の範囲の記載
勤務時間と休日 営業時間と勤務時間の違いが分かるか 始業・終業の時刻、休憩、休日の記載
研修・練習の扱い 「研修あり」の内容が書かれているか 研修期間中の勤務条件の記載
契約期間 雇用形態と期間の定めの有無 契約期間と更新の条件

求人票に書かれていない項目があれば、空欄にせず、質問のメモにそのまま書き出します。通知書は、契約を結ぶ前に受け取り、手元で読む時間をもらえるかを確認することが大切です。

確認4 賃金・歩合と練習時間の読み分け方

賃金と歩合の読み分けとは、固定の賃金と、施術の実績に応じて変わる部分を分けて、それぞれの計算の基準と支払われる条件を、書面で確かめることです。

この記事では、給与の金額そのものの比較は扱いません。金額が高いか低いかは、地域、勤務時間、経験などで変わり、一般化できる数値を示せる公式資料も限られているためです。その代わりに、「金額がどう決まるか」を読み分ける方法を整理します。

まず、固定で支払われる部分と、変動する部分を分けます。求人票に「月給」「歩合あり」などと書かれているときは、月給にどこまで含まれているのか、歩合は何を基準に計算されるのかを確認します。基準が施術の売上なのか、指名の数なのか、施術の件数なのかによって、日々の働き方が変わる可能性があります。

次に、練習の時間の扱いです。練習時間が勤務時間に含まれていれば、その間の賃金が支払われるかを確認します。勤務時間外の練習が前提になっている場合は、その間の扱いを質問します。「練習は自主的なもの」と説明される場合でも、実際に練習をしないと施術に入れないのであれば、事実上の義務になっていないかを自分の目で確かめる必要があります。

この確認を、口頭の説明だけで終わらせないでください。求人票、面接での説明、労働条件通知書、就業規則の内容を見比べて、食い違いがあれば質問します。賃金の計算方法についてさらに詳しく読み解きたい場合は、上で紹介した求人票の記事に、歩合や指名料の確認の手順をまとめています。

確認5 副業として始める場合は就業規則を先に読む

副業の確認とは、いまの勤務先が副業・兼業を認めているか、認めているならどのような手続きや条件が必要かを、就業規則や契約書で先に確かめることです。

転職ではなく、いまの仕事を続けながらアイリストの施術を副業として始める選択肢もあります。その場合、最初に確認するのは、勤務先の就業規則です。厚生労働省の「副業・兼業」のページには、「副業・兼業の促進に関するガイドライン」(令和4年7月8日改定版)、副業・兼業についての規定を含むモデル就業規則、労働者向けのリーフレットなどが掲載されています。

就業規則は、e-Gov法令検索の労働基準法第89条で、常時10人以上の労働者を使用する使用者に作成と届出が定められています。条文は常時10人以上を使用する使用者を対象にしているため、小規模なサロンでは就業規則が無い、または別の形で定めている場合もあります。その場合は、雇用契約書や、勤務先との面談で副業の扱いを確認します。

副業の確認で押さえたいのは、届出や許可が必要か、禁止されている場合の理由は何か、副業の内容に制限があるかの3点です。同業の副業を制限している職場もあるため、アイリストとして副業をする場合は、勤務先の業種と重なる点にも注意が必要です。判断に迷う場合は、自己判断で始めず、勤務先に確認してから動くのが安全です。

副業を始める場合は、前の章で触れた「届出された美容所で行うこと」も同時に確認します。自宅やレンタルスペースで行う場合の手続きは、管轄の保健所などに確認が必要です。副業の選び方全体は、美容師の副業は何から比べる?時間・免許・就業規則・費用で選ぶ判断軸に整理しています。

次の表は、副業として始める場合に確認する内容を、確認先ごとにまとめたものです。項目は4つです。

確認項目 確認する場所 知りたいこと
副業・兼業の可否 就業規則、雇用契約書 認められているか、禁止か、許可制か
届出や許可の手続き 就業規則、勤務先への確認 誰に、いつ、どの方法で申し出るか
同業の副業の制限 就業規則、勤務先への確認 同じ業種の副業に条件があるか
施術を行う場所 保健所など管轄の窓口 届出された美容所として施術できる場所か

面接や問い合わせで聞く質問を整理する

面接での質問の整理とは、この記事で出てきた確認点を、順番と聞き方を決めた質問文にして、聞き漏らしをなくすことです。

確認点が多いと、面接の場で聞き忘れることがあります。そこで、質問を5つのグループに分けて、メモとして持っていく方法をおすすめします。聞く順番は、答えやすいものから始めると、会話の流れが自然になります。

最初のグループは、仕事内容に関する質問です。「入社して最初に担当する施術は何ですか」「施術以外の業務にはどんなものがありますか」と聞きます。次のグループは、研修に関する質問です。「研修は誰がどのような順番で行いますか」「施術に入る判断は何で行いますか」と聞きます。3つ目は、勤務条件に関する質問です。「練習の時間は勤務時間に含まれますか」「材料や道具の費用の負担はどうなっていますか」と聞きます。

4つ目は、場所と運営に関する質問です。「この店舗は美容所としての届出をしていますか」と聞きます。最後のグループは、副業や将来の働き方に関する質問です。「副業・兼業についての決まりはありますか」と聞きます。これは、副業を考えていない場合でも、職場の考え方を知るために役立つことがあります。

面接では、質問への答え方そのものも、判断の材料になります。具体的に説明してくれる、書面で確認できると言ってくれる、考える時間をもらえる。こうした対応があれば、条件の確認を続けやすくなります。答えが返ってこない、質問を嫌がるような反応がある場合は、応募を続けるかを一度立ち止まって考えます。

転職か副業かを決める手順の完成例(仮の例)

完成例とは、この記事の確認点を使って、転職か副業かの判断を1枚のメモに整理した、読者が真似できる形の見本のことです。ここで示すのは、人物の属性を持たない仮の例です。

仮の例として、次のようなメモを作ります。なお、これは実在の誰かの体験ではなく、記事の説明のために作った例です。

確認点 分かったこと(仮の例) 次にすること
免許 美容師免許を持っている 入社時に提出する書類があるかを聞く
勤務先の届出 求人票には記載がない 面接で美容所の届出の有無を質問する
仕事内容 「アイリスト」とだけ書かれている 最初に担当する施術と、施術以外の業務を質問する
研修 「研修あり」とだけ書かれている 期間、指導者、勤務時間の扱いを質問する
副業 いまの勤務先の就業規則は未確認 就業規則を読み、副業の可否を確認する

このメモを見ると、「分かったこと」の欄に空白や「未確認」が多いことが分かります。空白や未確認の行が多いうちは、応募を決める段階ではなく、情報を集める段階です。質問への回答が書面で得られて、空白が埋まったときに、はじめて転職か副業かを比べる意味が出てきます。

転職を選ぶ場合は、研修の条件と勤務条件の書面確認を最優先にします。副業を選ぶ場合は、いまの勤務先の就業規則と、施術を行う場所の届出を最優先にします。どちらを選んでも、最初の一歩は「分からないことを質問に変える」ことです。

自分の優先順位を書き出して比べる

優先順位の書き出しとは、仕事内容・働き方・学び方・費用の各項目に、自分にとっての重さをつけて、応募先や副業の選択肢を同じ基準で見比べる作業のことです。

条件の確認が一通り終わったら、選択肢を比べる段階に入ります。比べるときに大切なのは、すべてを満点にしようとしないことです。「これが満たされなければ応募しない」という条件を1つか2つ決め、そのほかの条件は「あれば望ましい」ものとして扱います。

たとえば、「研修期間中の勤務条件が書面で確認できること」を譲れない条件にした場合、それが確認できない応募先は、他の条件が魅力的でも優先順位を下げます。「勤務時間の希望が合うこと」を譲れない条件にした場合は、研修の内容は質問の結果を見て判断します。このように、譲れない条件を先に決めておくと、応募先ごとの比較が簡単になります。

優先順位は、時間がたつと変わることがあります。転職活動を進めるうちに、最初に決めた条件より、別の条件のほうが大切だと気づくこともあります。その場合は、書き出したメモを更新します。メモを更新するときは、変えた理由も1行書いておくと、後で振り返りやすくなります。

生成AIを使って質問文を整えたい場合は、美容師のAI活用の始め方|仕事で向く作業と使う前に決める4つのルールに、使う前に決めるルールをまとめています。AIが出した文章は、そのまま使わず、条件や書類の内容と照らして確認してから使ってください。

免許と今後の働き方を長い目で整理する

長い目での整理とは、アイリストへの転職を、美容師免許を軸にした働き方の選択肢の1つとして位置づけ、他の選択肢と並べて考えることです。

アイリストへの転職は、美容師免許を活かす道の1つです。ほかにも、ヘアサロンで働き続ける、副業を組み合わせる、別の分野に免許を活かす、といった道があります。免許を使う仕事と、使わない仕事の見分け方は、美容師免許のセカンドキャリア|免許が要る仕事と要らない仕事の見分け方で整理しています。

アイリストに転職しても、将来また別の働き方に移ることは考えられます。そのときに、アイリストとして身につけた施術の技術や、お客さまとの接し方が、次の選択に役立つ場合もあります。ただし、将来の働き方や収入を、いま保証できる材料はありません。大切なのは、いまの時点で確認できる事実に基づいて、納得できる選択をすることです。

転職に迷うときは、1人で抱え込まず、家族や信頼できる人に話を聞いてもらうことも1つの方法です。ただし、他人の体験談はその人の状況に合わせた話であり、あなたの状況にそのまま当てはまるとは限りません。事実の確認は書面で行い、体験談は参考程度にとどめるのが無理のない進め方です。

よくある質問(FAQ)

Q1. アイリストとして働くには、美容師免許が必要ですか。
厚生労働省のページ(上記の根拠の章のリンク先)は、まつ毛エクステンションの施術は美容師法に基づく「美容」に該当し、施術者には美容師の免許が必要としています。
Q2. 美容師免許を持っていれば、どこでも施術できますか。
同じ厚生労働省のページは、美容師は美容所で美容を行わなくてはならず、届出されていない美容所では施術できないとしています。働く場所が届出された美容所かどうかを、面接などで確認してください。
Q3. 研修や練習の期間の条件は、どこで確認できますか。
面接での説明に加えて、労働条件通知書や就業規則の記載で確認します。練習の時間が勤務時間に含まれるか、材料や道具の費用を誰が負担するかを、書面で確かめてください。
Q4. 求人票と労働条件通知書の内容が違っていたら、どうしますか。
契約を結ぶ前に、食い違いのある項目を質問して、書面で訂正や説明を求めます。労働基準法第15条の内容は、e-Gov法令検索の労働基準法で確認できます。判断に迷う場合は、都道府県労働局や労働基準監督署などの公的な窓口への相談も選択肢です。
Q5. 副業としてアイリストを始めるとき、最初に何を確認しますか。
いまの勤務先の就業規則や雇用契約書で、副業・兼業の可否と手続きを確認します。厚生労働省の副業・兼業のページに、ガイドラインやモデル就業規則が掲載されています。
Q6. 自宅でまつ毛エクステンションの施術をしてもよいですか。
届出されていない美容所では施術ができないと、厚生労働省のページが示しています。自宅で行う場合の手続きや可否は、管轄の保健所などの窓口に確認してください。この記事では個別の可否を断定しません。

まとめ

美容師からアイリストへ転職する前に確認するのは、免許と届出の要件、仕事内容、研修と練習期間の扱い、求人票と労働条件通知書の記載、副業として始める場合の就業規則の5つです。免許については、厚生労働省のページが、まつ毛エクステンションの施術には美容師の免許が必要で、施術は届出された美容所で行う必要があると示しています。

確認の基本は、分からない点を質問に変え、口頭の説明を書面で確かめることです。求人票の「アイリスト」「研修あり」といった言葉は、中身を聞いて初めて意味が分かります。質問への答えが具体的で、書面で確認できるかどうかは、応募を続けるかを決める材料になります。副業から始める場合は、いまの勤務先の就業規則と、施術を行う場所の届出を先に確認します。次の一歩として、この記事の質問メモを印刷または書き写して、気になる求人に1つずつ当てはめてみてください。

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